小学校が春休みに入ったので、娘を連れて実家に帰省しました。娘が、「ピアノの発表会をすごく頑張ったんだ」と、母に話をしたところ、母がご褒美にと、日帰り旅行を申し込んでくれました。清水港遊覧、大井川鉄道SL、お花見バスツアーです。母、私、子供の、3世代旅行です。東京で暮らし、近くの公園には桜の木が1本しかないと話す孫に、満開の桜を見せてあげたいと思ったのだそうです。はじめに、ちびまる子ちゃんで有名な清水までバスで向かい、清水港から遊覧船に乗って、清水港をのんびり遊覧しました。そこからバスで大井川に向かい、煙をモクモクはきながら進むSLに乗ってお花見の名所まで移動するというツアーです。

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清水港からの遊覧船は、碇泊中も子供に大人気で、海を覗き込んで船の底の方を見ようとしたり、写真を撮ったりと大喜びです。近くに、少し寒かったのですが、膝くらいまで入れる浜があり、海水を触ることもできました。遊覧船からは、駿河湾と富士山を見ることができます。子供は風景を楽しむよりも、船の先頭で船長さんになりきりごっこをして遊んでいました。大人向けのバスツアーだったのか子供は娘しかおらず、子供にとってうれしい船首の特等席は誰も座ろうとせず、娘の貸切状態でした。

遊覧船で一回りして帰って来ると、バスの中でお弁当の昼食です。お弁当には大井川鉄道のSLの写真入りのお茶がついてきて、これからこれに乗るんだ、とワクワクしてきます。SLの駅、新金谷駅からいよいよSLに乗り換えました。煙が窓から入ってきて、「くさーい!」
と言いながらも、絵本で見るSLそのものに乗れて満足した様です。

SLの中にはハーモニカおじさんがいました。ハーモニカをふきながら、おみやげグッズや、ミニハーモニカを売っています。おばあちゃんにネックレス型のミニハーモニカを買ってもらった娘は、首から下げて嬉しそうになんだかわからない曲を吹いていました。そして、一番印象深かったのは、添乗員さんです。男性のおじさんなのですが、ボソボソと、それでいて、永遠と喋り続けるのです。話は中年のおばさま向けの内容ですが、観光の名所や豆知識などを入り混ぜて話してくれます。

そして、その話し方が、なんともおもしろいのです。一言話すたびに、「しゅーっ」と言う音がします。息継ぎの音なのでしょうか。話の内容もおもしろいのですが、私も娘も母も、「しゅーっ」がツボに入ってしまい、おかしくて仕方なかったです。

お客さんに語りかけるわけでもなく、椅子に座って進行方向を向いて1人で座り、ボソボソ、しゅーっ、とタンタンと話し続けるのです。娘は今でもこのバス会社のロゴの入ったバスを見かけると、「あのしゅーっのおじさんのバスだ!」と言うくらいです。

残念だったのは、お花見ツアーなのに桜が満開の時期を過ぎていたことと、お花見ポイントに着いた時に、パラパラと雨が降り始めてしまったことです。娘にはカッパを着せて、傘を持ってのお花見になってしまいました。しかし、花より団子の娘です。雨と一緒に降って来る桜の花びらを、ひっくり返した傘でキャッチして、走り回って大興奮でした。母も、「満開じゃないよねぇ」と言いながらも、孫のはしゃぐ姿に満足していた様です。娘の傘には、裏も表も湿った桜の花びらがべっとりついてしまい、しまうのに一苦労でしたが、楽しい思い出になりました。

帰りの高速道路にのったら、一度サービスエリアに寄る、というツアースケジュールだったので、家族へのお土産はサービスエリアで買えばいいやと思っていたのですが、なんと、バスの運転手さんがサービスエリアの入り口を間違って通過してしまい、バスはそのまま帰路についてしまいました。家で待つ家族へのお土産も何も買えませんでしたが、娘が「シューッ」の添乗員さんの話や、楽しかった話をたくさんしてくれたので、良いお土産になりました。